特徴

低侵襲

細胞は生検針で採取した約0.2g(米粒4~5個分)の脂肪組織から治療に必要な量の細
胞を得ることができます。

生検針による脂肪組織採取には下記のメリットがあります。
・身体的侵襲が少ない
・瘢痕形成リスクが低い(縫合や抜糸が不要)
・痩せている方からも採取可能​
・施術が短時間(施術時間:20分程度)

生検針の開発

CPC株式会社と東レ・メディカル株式会社で共同開発した生検針を用いることでより安定的に脂肪組織を採取することが可能です。

  1. 独自の針先形状(​式)
    刃先を廃した鈍な先端形状により、内出血のリスクを低減​
  2. シンプルな構造
    操作が容易のため初めてでも直感的に使用でき、スプリング方式で安定した脂肪採取が可能
  3. 細胞の派生効率が良い
    メスやハサミなどで採取した脂肪よりも細胞の培養効率がよい

非酵素処理

細胞は、細胞へのダメージを最小限に抑えています。

脂肪由来幹細胞は、脂肪組織をコラゲナーゼ処理して​培養することが可能であり、広く受け入れられていますが、下記の課題が指摘されることがあります。​

  • 手順が複雑で、複数の処理が必要
  • コラゲナーゼは細胞外マトリックスを分解するため、過剰な処理は細胞を傷害する可能性がある
  • コラゲナーゼは主に細菌から抽出されており活性にバラツキがあるため、処理時間や濃度を設定することが難しい
  • コストや免疫反応なども懸念される
酵素を使わない初代培養を行うための培養基材開発

培養基材を用いた非酵素処理では、基材に脂肪組織を接着させて細胞自身の派生を利用して単離します。そのため、脂肪組織が剝がれにくく、細胞が派生しやすい培養基材が必要となります。そこで、東京大学整形外科、日本バイリーン株式会社と共に細胞の足場基材として特殊な不織布を開発しました(特開2022-190774)。

この不織布を用いた脂肪由来幹細胞の単離方法は、酵素処理法と比較して、脂肪組織1mgあたりの細胞回収量が有意に高いことが確認されています。また、細胞の増殖能や分化能、細胞表面マーカー等には異常がないことが確認できています(Regen Ther. 2022 Jun 8:21:52-61)。

この技術により、TOPs細胞は酵素処理の影響を受けることなく、少量の脂肪組織から初代培養することが可能となっています。

細胞

初代培養時の酵素処理の影響​ 無し
必要脂肪組織量​ 少量
培養コスト 低い

安定した品質

すべての患者様に基準を満たした細胞を提供しています。

  • 個別対応の必要性​

    患者様ごとに組織や細胞の特徴が異なり、基準を満たすために培養条件を調整する必要があるため、これまでに蓄積した培養データから最適な培養プロセスを設計しています。​

  • 必要な細胞数の確保​​

    自家細胞の増殖能には個人差があり、治療に必要な細胞数を安定して確保することが課題となります。そこで、細胞増殖に適した専用培地を開発し、どの患者様においても十分な細胞数を確保できる環境を整えました。​​

  • 自己血清量の削減​

    患者様からの採血負担を軽減するため、少量の自己血清でも安定した細胞培養が可能となる培地を採用しました。 これにより、治療に必要な細胞を確保しつつ、患者様の負担を最小限に抑えることが可能となりました。

より安定した培養を行うための専用培地の開発​

培地Ⅱ”の特徴​

・アニマルフリーの間葉系幹細胞(MSC)用培地
・高い増殖支持能​
・再生医療等製品材料適格性確認書を取得
・安定した分化能​
・低血清培地​

(出典:関東化学株式会社, https://www.kanto.co.jp/dcms_media/other/BBz-37.pdf)

細胞表面マーカーの定期的な確認

TOPs細胞は、International Society for Cell and Gene Therapy (ISCT)の定めたMesenchymal Stromal Cellsの基準を満たしています。(Cytotherapy. 2006;8(4):315-7. )

非凍結

再生医療において治療直前の細胞は凍結されている場合と非凍結の場合があり、薬機法で承認された​
再生医療等製品においてもベッドサイドで解凍される製品と非凍結の製品があります。​
それぞれにメリットとデメリットがあると考えられます。​

一般に培養細胞の評価は、凍結をせずに行われることが多く、我々が取得している研究データの多くも​非凍結の状態で得ています。​
これまでに蓄積された研究データを重要視し、医師の方々が納得して患者様に提供できるように、TOPs細胞は輸送時の温度コントロールを徹底することで、安全な非凍結細胞として提供しています。​
(治療スケジュールの調整は中間凍結によって対応しています。)​

メリット デメリット
非凍結 細胞機能評価データが豊富である 輸送時の温度コントロールが必要​
投与日直前での予定変更が難しい​
凍結 輸送時の温度コントロール​が容易​
投与スケジュール調整が容易
凍結保護剤の影響​
凍結による細胞へのダメージ