幹細胞とは

間葉系幹細胞

脂肪由来幹細胞は(間葉系)幹細胞の一種

幹細胞とは、自己複製能と分化能を持つ細胞のことで、生体内にある幹細胞は体性幹細胞と呼ばれています。
体性幹細胞は特定の組織や臓器で新しい細胞を作り続ける細胞であり、組織の維持や修復など、生体内の恒常性維持に働くことが知られています。
間葉系幹細胞は体性幹細胞の一種で、骨・軟骨・脂肪などの間葉系細胞へ分化する能力を持った幹細胞のことです。骨髄や脂肪組織、臍帯などに存在し、脂肪組織から単離された間葉系幹細胞は「脂肪由来幹細胞」と呼ばれています。TOPs細胞はこの脂肪由来幹細胞にあたります。
法制度に基づき厚生労働大臣に届出された自家間葉系幹細胞を用いた再生医療等計画数は、2024年時点で1,000件以上にのぼり、年々増加傾向にあります。

※ ES細胞やiPS細胞など、様々な細胞に分化できる多能性幹細胞と呼ばれるものもあります。
ES細胞は胚性幹細胞とも呼ばれ、胚の内部細胞を単離し培養することで作られた幹細胞です。
iPS細胞は、通常の細胞をもとに遺伝子導入などの操作によって人工的に作られた幹細胞です。
いずれも、生体内に存在する体性幹細胞とは異なり、様々な細胞に分化できる“多能性”を有しますが、これらを用いた再生医療は、再生医療等安全性確保法のリスク分類において高リスクにあたる“第一種再生医療等”に該当し、治療が実施できるようになるまでの法手続きが体性幹細胞を用いた再生医療とは異なります。

※TOPs細胞は脂肪組織から単離した細胞を培養することで特定細胞加工物として製造しており、定期的な品質確認により自己複製能・多分化能が認められていることから従来の幹細胞の定義に沿った性質を有すると考えられるため「間葉系幹細胞」と表記しています。

脂肪由来幹細胞がもたらす作用

生体に投与された脂肪由来幹細胞は、その環境に応じて様々な成長因子やサイトカインを分泌し、周囲の細胞と相互作用することで、免疫調節や組織修復など多岐にわたる作用をもたらすと考えられています。
(Plast Reconstr Surg. 2023 Mar 1;151(3):420e-431e.)
(Dig Med Res. 2022 Dec 5:57)
(Stem Cells Int. 2020 Dec 10:2020:8810813.)