幹細胞を用いた再生医療

再生医療は急速に発展し、新たな治療法として期待されています。しかし、安全性や有効性を確保しなければ患者様のリスクが高まり、医療技術の健全な発展も妨げられます。​
そのため、国内では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」と「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(安確法)」により、再生医療の適切な提供が法律で定められています。​
提供される項目として、保険診療下で提供される「再生医療等製品」と、自由診療下で提供される「特定細胞加工物」があり、前者は薬機法に、後者は安確法に基づいて提供されています。​
TOPs細胞は安確法に定めるところの「特定細胞加工物」に該当します。

再生医療推進法:2013年 公布

再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律

製造販売

医薬品医療機器等法
(薬機法):2014年改正

目的
  • 医薬品、医療機器、化粧品、再生医療等製品の品質や安全性を確保し、それらの使用による健康被害を防ぐための規制を行う​
  • 特に医療上の必要性が高い医薬品や医療機器、再生医療等製品研究開発を促進することで、公衆衛生の向上を目指す​
内容
  • 医薬品、医療機器に加え、新たに再生医療​等製品が規制対象として新設された​
  • 有効性が推定され安全性が認められれば、一定の条件や期限を定めたうえで承認されるという、条件・期限付き承認制度が取られている、など​​

再生医療等製品​

定義​
  • 薬機法に基づいて製造・販売されるもので、厳格なGMP (Good Manufacturing Practice)/GCTP(Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice) 準拠の製造施設で製造され、品質、安全性、有効性が科学的に証明されたもの​
特長
  • 多額の開発費用を要するため、上市に至る製品は限定的​
  • 2022年時点で国内市場規模は54億円で、承認された製品数は20品目ある
  • 代表的な製品には、JCRファーマのテムセルやJ-TECのジェイスなどがある

自由診療

臨床研究

再生医療等安全性確保法(安確法):2014年施行

目的
  • 再生医療等の迅速かつ安全な提供を実現し、そのために提供者が講ずべき措置を明確化するとともに、特定細胞加工物の製造に関する許可制度を整備する​​
内容
  • 再生医療を行うためには、厚生労働大臣に提供計画を提出することが義務化されており、リスク分類に応じて必要な手続きが異なる​
  • (特定)認定再生医療等委員会での審査が必要
  • 細胞加工については厚生労働大臣から許可を受けた企業等への外部委託が可能​
  • 医療機関が細胞加工を行う場合は、厚生労働大臣への届出が必要など

特定細胞加工物​​

定義​
  • 再生医療等安全確保法に基づいて製造・提供されるもので、厚生労働大臣から施設番号が付与された医療機関または企業の細胞培養加工施設で製造された細胞​​
特長
  • 迅速に臨床現場で使用できる​​
  • 自由診療のため、患者様に寄り添った治療の提供が可能
  • 法的要件が合理的に緩和され、製品化までのコストと時間の削減が可能​

再生医療技術のリスク分類​

安確法では下記のフローチャート図のように、人の生命及び健康に与える影響の程度に応じて「第1種再生医療等」「第2種再生医療等」「第3種再生医療等」の3つに分類されており、適切な規制を設けています。​

特定細胞加工物​

脂肪由来幹細胞は、安確法下で様々な疾患に用いられています。​
脂肪由来幹細胞を用いた再生医療の多くは「第2種再生医療等提供計画」に該当しており、​治療区分の約50%が脂肪由来幹細胞を用いた提供計画となっております。

主な治療対象

変形性膝関節症・関節炎​
顎骨欠損・歯槽骨・歯周組織再生​
靭帯・腱・筋の再生(スポーツ関連疾患)​